89/100点 オススメ度*1☆☆☆☆
17/20 シナリオ(設定、構成、オリジナリティ等)
19/20 キャラクター(演技、魅力的、印象的か等)
18/20 映像(CG、合成の自然さ、印象的なシーン等)
17/20 劇中曲、効果音等
18/20 演出(演技・映像・楽曲の組み合わせが効果的か等)
さぁ前回に続き書いていきましょう。サム・ライミ版の2作目です。
※以下ネタバレ注意
ヒーロー業は大変だよ
前作で唯一主人公、ピーターが得られなかったものは恋なんですよね。ヒロイン、メリー・ジェーンと両想いなのは分かったんだけど、滅私奉公、正体がばれた時に危険が及ばないようにヒーローとして生きる覚悟と恋をあきらめたんです。今作はそういった普通に生きる自分を捨てた事に対しての苦悩を描いています。
ピーターは大学生になりましたがヒーロー活動のせいで恋どころかバイトも学業も時間が取れずに失敗続きです。女優として活動し始めたメリー・ジェーンの演劇を観に行く約束も守れず愛想をつかされ婚約者までできてしまいます。
報われなくてもいいという覚悟はしていたもののあまりの踏んだり蹴ったりの現実に打ちのめされて蜘蛛の能力も使えなくなってしまいます。
天才すぎる博士
今回の敵は天才科学者、ドクター・オクタビアスさん。専門は核融合のようです。特殊なトリチウムを反応させて半永久的で膨大なため安全で安価な電気エネルギーを取り出せる装置の開発をしています。既に失敗フラグがビンビンです。
援助をしているのがオズコープ社。ピーターの親友、ハリーの父親*2の会社ですね。ハリーは会社を継いでいるようです。いよいよ装置のお披露目・・・はいいんですが核融合の装置を街中のビルで?冷却装置もなく?取材陣はじめ招いた見学者と仕切りもない近距離で?初めての起動で?・・・できる?じゃねぇよ、やるんだよ!*3マジかよ・・・*4
博士の自信の根拠の一つに装置の制御に使う装着型4腕ロボットアームがあります。*5なんと使用者の脊髄と直結し人工知能によって自在に動かすことができます。痛そう 反応が多少暴れてもアームが自動で抑えてくれるそうです。
丁寧なフラグ立てのおかげか案の定核反応炉はアームでは制御できないほど暴走して実験とお披露目は死傷者を出し大失敗します。オズコープ社はまたしても社運を賭けたプロジェクトが崩壊します。ピーターがちゃんと責任取らせて終わらせていれば・・・
さらに装置の暴走の影響でアームの人工知能チップがショートし、背中から取り外せなくなったどころか人工知能まで暴走し装着者に対して逆に指示をするようになった結果、博士は「今度は成功できる」という妄執に囚われ資金と資材調達のために街を襲う怪人オクトパスと化してしまいます。
緊張と緩和はいいエンタメの要素
そんなオクトパスとの迫力満点の空中戦もとてもいいんですが、伯母さんが困窮しつつもピーターにお金を握らせるシーンや、結婚してしまうメリー・ジェーンへの気持ちやついに市民に顔を見られてしまった後のシーンと、ぐっとくる場面もすごく良くて、この緩急は上手いです。今回も感傷的なシーンにはやられました。
ツケは回るが
前回グリーンゴブリンとオズコープ社の後始末をちゃんとしなかった分、ちゃんとしわ寄せが来ます。ハリーのスパイダーマンへの憎しみが原因で結局メリー・ジェーンは人質にされ両人に正体がバレ、ハリーは最後には会社どころかグリーンゴブリンまで継いでしまいます。
まぁなんやかんやでオクトパスを抑えて第2の反応炉も停止、メリー・ジェーンとは元々のスパイダーマンへの好感度補正も相まって開き直って交際開始したりとお決まりの大団円でこういうのでいいんだよという感じでした。*6
反応炉も凄いけど
今回も引っかかるところはあります。まず前述の博士の反応炉。核を扱うにはあまりにガバガバな状況です。そして装着するアーム。人工知能で自動操作してくれるなら人間に取り付ける意味が全くないです。危険な作業を代わりにやってくれるのがロボットの利点ですから、一緒になったらダメでしょ。そしてこのアームが人間をそそのかすし、ずっと動力源もなしにものすごい出力で動き続ける。失敗した反応炉よりこのAIとアームの方が何世代も先のとんでもない発明です。
また電車を止めるスパイダーマンも有名なシーンですが、いくら超人的な身体能力を得てもあれは腕ちぎれるし足ぐちゃぐちゃになると思います。
カッコイイタコ怪人誕生、緊迫のアクションシーンのためには多少の点には目をつぶる必要があります。
今回もハリーに正体がバレた後のケアもしないで終わるのもなんだかなぁという感じです。次回に取っておきたい要素なんでね・・・
やっぱり細かいことはいいんだよ
前回も書きましたがヒーローものとしての爽快感や挫折と復活という永遠不変のテーマ、前回に引き続きの構成と見せ方の上手さの前では、こうした不自然だったり強引な点に全く気が付きもしないという人も多そうなほどです。CGの合成もより自然になっている感じがしました。
いい意味で頭からっぽにして観れて疲れず楽しめる映画としては最高峰のレベルにあると思います。
そういえばヒロインのサービスはなくなってました
ではまた
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