ハオルチアの洞

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映画感想 #11『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(2016)』

77/100点 オススメ度★★★

13/20 シナリオ(設定、構成、オリジナリティ等)

13/20 キャラクター(演技、魅力的、印象的か等)

18/20 映像(CG、合成の自然さ、印象的なシーン等)

17/20 劇中曲、効果音等

16/20 演出(演技・映像・楽曲の組み合わせが効果的か等)

 

 

前回に続きこちらは初見での感想となります。

ではいつものどんな感じの作品か動画をどうぞ。

 

youtu.be

これ観た後だと全然こんな映画じゃなくてびっくりするな

 

 

ハリポタシリーズのスピンオフ

本編の70年ほど過去のアメリカが舞台ということでほぼ本編とは関係ない話で、ハリー達が学校で使う教科書を書いた魔法使いニュートが主人公の作品となります。

 

ニュートは魔法生物の研究をしていて、イギリスからある目的でアメリカに入国。飼育兼研究小屋とつながる(内蔵する?)トランクを一般人と取り違えて中で飼っている魔法生物が脱走、魔法の存在が非魔法使いに広まることを恐れるアメリカの魔法議会に目を付けられ丁度世間をにぎわしている事件がその魔法生物のせいだと濡れ衣まで着せられる。動物の回収、ニューヨークを暴れまわり街を壊し人を殺す本当の「何か」の正体と闇の魔法使いとの関係は一体、という内容。

 

※以下ネタバレ注意

 

期待しすぎたか

まずシナリオが面白くない。手荷物が似ていて取り違えるっていうのもなんかありきたりで安っぽい。でなんかごたごたしてるうちに「何か」は消えて黒幕ってほどでもない悪者をなんとなく捕まえて終了。で結局何を見せられたんだ?

 

主人公のニュートなんですが彼のトランク、金具が緩くて魔法生物が抜け出すわ鍵もなく一般人にも普通に開けられるわで、ずさんな管理で責任感がなさすぎる。魔法使いの適当さは昔っからなんですよね。オブリビエイトすればいいと思ってそう

本当に魔法使いからも魔法生物を保護、取り扱いや安全性の周知に努めようと認知されていない魔法生物学者を自称する人間がやることでしょうか。

根っからの魔法動物好きで人には奥手という設定で、顔をやや斜め下にうつむかせるんですが、これが人と話をする時以外にも頻繁にやりすぎ「盛れてる俺の顔の角度アピ」に感じてしまいました。わざとらしい顔の角度のつけ方とポツポツとした話し方*1が相まってできたぶりっ子感にちょっとイラっとします。

 

次に魔法動物の見せ場の作り方が雑。いかにも魔法生物に焦点を当てた作品かのように思わせておいて、舞台がニューヨークということで自然がない。なので捕まえるとか、トランクの中で動物園のようなこじんまりとした姿を見せるしかない。苦しい中で良い機転だし見せ方も上手かったとは思いますが大自然で悠々と暮らす魔法生物のユニークな生態が見たかったなと。

 

太ったオッサンをさっさと解放せずにトランクに招待して餌やりをさせたり連れまわす理由がない*2何も知らない人間がいないと動物の紹介を視聴者のためにできないからでしょう。ですが知らない街の案内も含めヒロインでいい。

 

そのヒロインに魅力がない。当時の流行の髪型とかファッションとか時代設定上あるんでしょうけどなんか華がないんですよね。こう言ったらなんですが若くもないしとびきり美人って感じでもないし魔法の方でも特に活躍もない。なぜか最後にニュートと良い感じになりますがお互いどこに好きになる要素あった?って感じでヒロインとバディ*3の存在が物語の都合以下の存在でしかないように感じます。ヒロインの妹の方がよっぽど良かったです。

 

ブレる要素

五部作を予定ということで全体のメインとしてラストの闇の魔法使いとの対決や本編に関わる話をしたいんでしょう。一作目の今作ではそのための準備の必要にせまられて、主人公は魔法生物学者だからある程度魔法生物は出さないといけない。でヒロインとも恋愛させて、バディのおっさんも幸せにして、オブスキュラスも登場させて、更に闇の魔法使いも出しておかなきゃ・・・と話があっちこっちにとっ散らかってる。その割にどれも中途半端で退屈でしかない。せっかくハリポタの魔法世界っていう下地をこの映画を見る人なら持ってるだろうに、それをうまく生かしきれてない。

 

魔法が便利すぎ

本編でも使われる魔法なんですが物を修復する魔法が強力すぎる。ボロボロの街を数分で直すんですがこれができるなら何でもあり感がします。オブスキュラスのパワーもとんでもない。未熟な魔法使いの制御できない力というより破壊に特化した指向性のある力でしかない。画の迫力を出すために派手にしたんでしょうがやりすぎでは?

忘却の薬の雨、建物内の市民にも効果があるように見えてバディのオッサンだけは雨に直接濡れるまで忘れないのがよく分からない。しかも完全には忘れていない。ハッピーエンドでいいんだ、魔法の世界だから、と言われればそれまでなんですが。それを言ったら何でもありの都合のいい逃げ道みたいな感じでモヤっとします。

 

全体的に惜しい

CG映像は綺麗なんですがシナリオもキャラもイマイチでどうもまとまりがない。ハリポタ本編の出来を踏まえて期待したのが失敗だったかもしれません。新シリーズとしての準備、紹介にしても期待外れと言わざるを得ませんでした。まったく気にならず楽しめた人もそれなりにいるとは思いますがそれまでの作品です。一応次作も観ようと思います。

 

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※オススメ度の目安は以下の通りです。

  • ★    :もの好きなら
  • ★★   :よっぽど暇なら
  • ★★★  :好きなジャンルなら楽しめる
  • ★★★★ :間違いない面白さ
  • ★★★★★:絶対に観るべき

 

*1:字幕版

*2:一応怪我の経過を見る、みたいな感じだったが即時回復でいい

*3:太ったオッサンね