ハオルチアの洞

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アニメ感想 #5 『Re:ゼロから始める異世界生活』(シリーズ)

また期間が開いてしまいました。

実はほぼ完成の書きかけでデータが消えてしまってから更新のタイミングを逃してました。ボツにしようかとも思ったのですがもう一度書きます。*1

 

今回は長月達平氏の原作を元にしたアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』1期(2016)と2期(2020,2021)、OVAの感想(あまり本編内容には触れませんが)です。ここ何年もお馴染みの”小説家になろう”発人気作の書籍化アニメ化という流れですが、派生作品にゲーム化コラボレーション等、このタイプの作品の中では一二を争う大人気作品となります。

 

ではいつものPVをどうぞ。

youtu.be

 

 

楽じゃない異世界召喚

なろう大好き「異世界転生(召喚)」にいわゆる「ループもの」と言われるジャンルの組み合わせになります。*2困難な状況を失敗しては時間を巻き戻し、残った経験や集めた知識で解決する、というやつです。有名なのは『時をかける少女』『STEINS;GATE』『涼宮ハルヒの憂鬱』のエピソード「エンドレスエイト」あたりでしょうか。忘れたころに名作が出てくるジャンルのイメージです。*3

 

主人公のスバルは不登校の高校生で、深夜のコンビニ帰りにいつもの*4欧州中世風異世界にほぼ体ひとつで放り出される。

取り合えず街をうろうろ、早速ならず者に絡まれたところヒロインのエミリアに助けられます。この世界の右も左もわからず目的もないので恩返しで手伝うことに。早速彼女の探し物に付き添ったところ彼女共々あっさり殺されてしまうが気が付けばエミリアと出会う前で─ という感じで後は是非観ていただいて。

 

なろうといえばチートで無双!引きこもり、過労、コンビニ食品、恋人もいない等々辛かった前世とはさっぱりおさらば悠々自適でモテモテ!・・・もちろんなろうの代表的作品どころか近年でも有数の人気タイトルがそんなイージーなわけないです。チートどころか能力は何もありません。*5

ただしやり直せる。使いようによっては充分異世界生活を楽しく充実でき・・・れば良かったんですけどねぇ・・・

 

ボディーに効く工夫されたループ

ループしても記憶は維持されるので、行動を変えて問題の原因を回避したりループを前提に大胆に情報を集めたりと、大抵のループものにおけるループは基本的には困難に立ち向かう手段として利用されると思います。そして同じシーンを繰り返して解決するのを繰り返す構造はより単調になり陳腐化するでしょう。

 

しかし本作ではループすると、スバルの体に魔女の臭いがまとわりつきます。この世界において魔女は忌まわしき存在で、順調な部分は同じように行動することでなぞりたいと思っても魔女の臭いのする人間として怪しまれ、友好的だった人間の行動が敵対的なものに変化したり、協力者を増やすにも難しくなったりと事態が複雑化しループに厳しいデメリットが伴います。

 

ループしていることを伝えようとすると文字通り心臓ギュッとされちゃうオマケ付き。状況を理解されない孤独、立ち向かおうとしては空回りし、怪しい人間だと思われても協力してくれる方法や変わる行動を予測しないと解決できない。これはメンタルに来ます。

 

スバルのぐっとこらえて欲しいところで我慢できない直情的な性格や、無理に強がるカラ元気さ、セリフ回し、自分だけが繰り返し苦労しているのにそうとは知らず思うようにいかない状況に周囲へ当たってしまう事もある姿に、(これは多少同情できるが)スバルをウザいと感じる人も少なからずいるようです

しかし単にループを乗り越えるだけじゃなくてなるべく周りの皆も良くなるように、くじけても諦めずに真剣に頑張って、少しづつ信じてくれる人を増やして複雑になっていく問題を解決していく姿。何度も死ぬ苦しみ、精神的消耗に対してささやかな報いとヒロインのもたらす一筋の光。スバルの勇気と成長、決着のカタルシスが本作の最大の魅力と言えるでしょう。ループ構造のデメリットを昇華させるこの工夫は非常に上手いと感心しました。アニメでうるっとしたのは久しぶりでした。涙もろくなっただけかも

 

続きが気になるストーリー展開、キャラの掘り下げとの噛み合いも自然です。劇中歌も感動的なシーンをより盛り上げるように効果的に使われていて良かったです。

キャラクターデザインもいいです。ポップよりですがシリアスなシーンも多い内容とうまくバランスがとれているかと思います。誰だっけこいつ、みたいなこともありません。中でもPVの1分40秒あたりからのピンクとブルーの髪のメイドのキャラクターはかなりの人気です。作画もよく動くし崩れない、無駄な止め絵で尺を稼ぐようなシーンもありません。

 

マイナスを無理に挙げるとすれば世界観やキャラクターの性格や言動はややテンプレート通りなのかなと思います。いつもの剣と魔法のファンタジー世界、個性的ではあるが予想を超える衝撃的なキャラはいません。

あと前述したようにスバルの言動が気になる人がいるという点。シリアスな戦闘や死亡シーンは血が結構でたり割とグロい描写があるので苦手な人は注意、という点でしょうか。

 

人気にふさわしい納得の高品質のおすすめ優良作品。

アニメに興味がなくても観て損はないレベルです。

 

 

ではまた

 

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*1:少し前に話題になった中村元先生を思えば・・・

*2:ループもの - Wikipedia

*3:ループものだということ自体がオチだったりするので注意が必要なものも。

*4:なろうお馴染みの世界観

*5:言葉は流石に通じる